より多くの空き家の流通をめざして

こんにちは、三条市で空き家相談員として活動している地域おこし協力隊の佐藤芳和です。日々、市内を奔走しながら、空き家対策や移住推進を通じたエリア活性化に取り組む「一般社団法人 燕三条空き家活用プロジェクト」にも携わっています。前回の記事では、令和4年度から本格的に始まった三条市の空き家対策の成果を紹介しましたが、今回は特に、買い手がつかない物件を流通させるための取組や制度について詳しくお伝えします。

アットホームと連携した全国版空き家バンクへの掲載

三条市は全国版空き家・空き地バンク「アットホーム 空き家バンク」との連携を開始し、これにより市独自の空き家バンクに掲載していた物件情報を全国にも同時掲載できるようになりました。これまで新潟県外からの購入者は全体の2割に満たなかったが、この連携により、同じ作業量で全国に情報を発信できるため、新潟県外からの利用増加や移住促進が期待されています。

空き家バンクの新たなサービス、「マッチング掲示板」

二つ目の取り組みは、「マッチング掲示板」という新たなサービスです。この掲示板では、空き家や空き地を「売りたい・貸したい」「買いたい・借りたい」といった情報を自由に投稿でき、所有者や活用希望者が自発的に情報発信や収集を行えます。従来の空き家バンクが詳細な物件情報を掲載していたのに対し、このサービスは情報を簡単に掲載できるため、プライバシーを気にする方でも気軽に利用可能です。これにより、マッチングのプロセスが円滑になることが期待されています。

空き家流通促進のための支援事業

三つ目の取り組みは、空き家の活用と流通促進のための支援制度です。この制度には、①民事信託制度の周知協力(※1)、②隣地買取の促進、③残置物の撤去・清掃支援の3つの柱があります。支援制度を活用し、広報やPRに協力した方には謝礼金や奨励金が支給されます。空き家の処分や活用における個々の課題を解決するために、この支援制度を整備し、より多くの空き家が適切に処理・利用されることを目指しています。

※1 民事信託制度
委託者(財産を保有する人)と受託者(信頼できる親族など)が信託契約を結ぶことで、受託者に財産管理を託すことができる制度。空き家になる前に管理を親族などに託すことで、空き家の発生を未然に防止することが期待できます。

例えば、接道していない土地は資産価値が低く流通しにくい一方、隣の土地が不整形で活用が難しい場合があります。そこで隣地買取が有効です。接道していない土地の所有者は、その土地を隣の人に売却できます。一方、隣の土地を有効活用したい所有者は、接道していない土地を買い取ることで土地の形状を整え、自身の土地の資産価値を向上させるとともに、土地を有効に活用できます。

また、処分したいのに、所有している空き家に家財道具が残っているのでなかなか処分に踏み切れないというケースはよくあります。その場合は残置物撤去・清掃支援が有効といえます。

ご紹介したこれらの制度が気になる方は、三条市空き家相談窓口か空活燕三条まで、ぜひともお問い合わせ下さい。

空き家の数を少しずつ抑えるため

空き家対策は進んでいるものの、依然として課題が残っており、空き家の数は増加し続けています。完全にゼロにするのは難しいですが、増加率を抑える努力が求められています。空き家を所有している方や活用を考えている方は、支援制度や空き家バンクを活用することを検討してみてはいかがでしょうか。

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