民事信託インタビューvol.2

民事信託制度を活用し、ご実家と奥様のご実家の財産管理を行ったFさん。

Fさんのご相談を受けられた行政書士の高橋さんにもインタビューにご協力いただきました。

財産処分について自分自身で決められる安心感と、そして家族の間での信頼関係の重要性についてお話されていました。

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民事信託という制度を、これまでに聞いたことがありましたか?

Fさん

将来、実家と妻の実家を相続することになるだろうと考え、自分なりに色々と調べていくなかで民事信託のことを知りました。

成年後見人制度も知っていましたが、手続きが大変で時間もかかりそうなイメージを持ちました。

2019年に高橋さんへ相談し、民事信託について丁寧に教えていただきました。

どのような経緯で民事信託を利用することになりましたか?また、実際に民事信託を使われてみてどうでしたか。

Fさん

私は実家と妻の実家の2件を同時平行して行い、

公的な書類の作成など必要な手続きは行政書士の高橋さんや司法書士の方に教えていただきながら進めました。

正しく財産を使った記録を残さなければいけないですが、財産管理を弁護士などに相談せず、

自分自身の判断でできるという点で、気持ちの上でも安心できる制度だと感じました。

養父は痴呆の気配がみられたので、家族で介護するための費用を捻出するために、義実家を売却してその介護費用に充てようと考えて動いていました。

そうしないと自身の貯金を切り崩していかないといけなくなる。それが心配だったので民事信託の手続きを行いました。

高橋さん

Fさんご自身のご実家は、跡継ぎがおらず将来的な財産管理のために、

不動産・金銭も管理できるようにするため、実家を含んだ信託契約を結びました。

Fさんの奥様のご実家は、義理のお父様が一人暮らしのため、

将来認知症で財産管理ができなくなる前に、空き家予防の観点から民事信託を利用されました。

Fさん

けど、信託契約を結んで間もなく、22年10月に養父は亡くなってしまいました。

亡くなられた場合、信託上は関係なくなるんでしょうか。

高橋さん

一応信託が終了して、相続することになります。

今回の信託契約では、奥様のお父様が亡くなったら、

帰属権利者として養子縁組をされているFさんが息子という形で、相続されることにしています。

費用の面ではどのような印象を持たれましたか?

Fさん

必要な手続き費用は最終的には3〜40万ほどかかりましたが、

財産の処分を自分自身の判断でできる安心感を得られることが大きかったです。

そこは大きいですよね。手遅れになる前に多少の費用をかけて対処しておけば、必要な時に財産を売って必要な費用を捻出することができて、後々困らなくなりますよね。

民事信託を利用する利用する際に難しいと感じた部分はありますか?

Fさん

家族の中で、信用されているかどうかだと思います。任せてもらえるか。

これまで自分がやってきたことの積み重ねを通して家族の中でこちらがすることを信用してもらえるか。

やはり家族であっても信用が大事だと思います。

高橋さん

他のケースを見ても、家族の中で信頼関係ができてることが前提だと思います。

Fさんの場合も、財産のことで家族の誰も知らないようなことをやろうとしてる。

家族の同意がないとできないので、家族関係が悪かったら絶対にできないんですよね。

それでもできたのは家族の中でFさんの信頼があったからこそだと思います。それがないとやはりまとまらないと思います。

なんだそれは!という形で、ご家族が身構えてしまうと難しいですよね。

民事信託を利用されてよかった点はありますか?

Fさん

繰り返しになりますが、安心したことです。

実家の母が最近怪我をして入院したんです。

けれど、その治療費は事前に民事信託をしていたおかげで、母の銀行口座のお金で賄うことができました

高橋さん

補足するとお母様の口座とは別に、信託口口座というお母様とFさんの連名による専用の口座をつくります。

信託するまとまった財産はこの口座に入れます。

その口座に入っている財産は民事信託を結んだFさんの判断で使うことができるんです。

この類いの口座は県内だと第四北越銀行でしか作れないそうです。

最後に、利用を考えている方にメッセージ、アドバイスがあれば、お願いします。

Fさん

民事信託を行うことによって、

自分自身の判断で委託者の財産を煩わしい手続きをせずに使うことができる。

なので、気持ち的に楽になりました。

ただ、そのためには家族の中での信用を培っておくこと、

いざという時に話せる関係を築いておくことが大事だと思います。

なにもなくただ相続ができれば良いですが、保険のようにもしもの時のための備えとして、当たり前に皆さんが使えるように広がればいいなと思います。相続する前に親の財産を処分や運用できるようになればいいかもしれませんが、そうでないからこそこういう選択肢が重要ですよね。

高橋さん

一度認知症になってしまうと、

所有者さんも子供たちも何もできずに、ほったらかしという事案がすごく多いです。

民事信託がその解決のキッカケになればいいかなと思います。

ご協力ありがとうございました!

高橋正芳 / 行政書士(縁竹縄/芸人)

相続に関わる手続き代行だけでなく、終活・生前対策までトータルでサポートできる新潟県加茂市の相続専門事務所を運営。お客様に寄り添い、お客様のご希望に耳を傾け、「争族」ではなく円満な「笑顔相続」がモットー。

芸人「縁竹縄(えんたけなわ)」としても相続をテーマに活躍中。

一般社団法人燕三条空き家活用プロジェクトでは、空き家を増やさないための活動を行っています!

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